2010/10/31

京浜急行電鉄1500形(1731編成)

 京浜急行1500形電車は1985年から1993年にかけて166両が製造された電車です。快特から普通までオールマイティに運用できる電車であります。それほど目立ちませんが手堅く活躍している印象ですね。
 車体は最初の20両だけが普通鋼製で、あとの車両はアルミ車体になっています。アルミ車体となったことで普通鋼製の車体より先頭車で3.5t、中間車で4.0t軽量化できたそうです。もっとも鋼製車と同様に塗装を施しているので、外観からはアルミ車だとは判別できません。
 主回路は界磁チョッパ制御を採用しましたが、後期にはVVVFインバータに切り替えられました。現在は界磁チョッパ車をVVVF化する更新工事が進んでおります。
 写真の1731編成は1993年1月に川崎重工で完成したもので、1500形のラストナンバー車に相当します。クーラーキセは新しいものに換装されているようですね。

2010/10/30

東京急行電鉄6000系(6106F)

 東急大井町線では2008年3月から急行電車の運転が開始されましたが、専用車両として6000系電車が用意されました。田園都市線や東横線で走る5000系や5050系ではなく、わざわざ新形を投入したところに並々ならぬ意気込みを感じます。
 6000系も5000系を基本とした電車ではありますが、なんといってもくさび形の前面デザインが目を引きます。何とも先鋭的な外観ですが、先頭部が傾斜しているのには駅通過時の風圧低減という理由があります。大井町線にはホームの幅が狭い駅もありますから、そのあたりに配慮しているのだと思います。
 主回路はIGBT-VVVFインバータ制御で、走行機器や情報機器も5000系に準拠したものになっています。個性的な外観とは裏腹に機器については標準化を図っております。
 写真の6106Fは、2008年3月に東急車輛で完成したものです。2009年7月に大井町線は溝の口まで延長されましたが、6000系の個性的な外観がアピールに一役買ったものと思います。

東京急行電鉄9000系(9002F)

 大井町線を走る9000系のうち、9002Fと9006Fの2編成が五島美術館開館50周年を記念するヘッドマークを掲示して走っています。
 私のようなおじさんの感覚では、ヘッドマークは機関車の先頭に掲示するものだと思っていますが、最近では電車にもときたま掲示されていますね。
 美術館に行くのはいい息抜きになりますね。作品を見ながら時代の背景や、作者の意図をいろいろと想像してみる。頭の体操にもなります。もちろん作品そのものに浸るというのもいいですね。
 写真の9002Fは1987年11月に東急車輛で完成したもので、9000系の2次車に相当します。長らく東横線で活躍しましたが、5両編成に短縮されて2009年7月から大井町線で走っています。

東京急行電鉄8090系(8099F)

 東急の8090系電車は、製造当初は東横線の急行電車用として活躍していました。1989年にはみなとみらい線への直通をにらんで正面に貫通路を設けた8590系に編成を組み替えて、8090系は10本が大井町線に転属しました。
 8090系は1980年から1985年にかけて製造された電車ですから、約10年しか東横線では走らなかったということになります。大井町線での活躍も20年を経て、東横線から転属してきた9000系による置換えが少しずつ進んでいます。
 現在の東横線では、特急・急行と各停では車両をまったく区別していません。東京メトロ副都心線と直通運転を開始する時点で、特急・急行が10両編成、各停が8両編成になりますから再び車両を区別することになるでしょう。ちなみに大井町線では6000系が急行専用になっています。
 写真の8099Fは、1985年2月に東急車輛で完成したものです。行先表示がLEDとなり、パンタグラフがシングルアーム式になるといった変化が見られます。

2010/10/28

東京急行電鉄5050系(5171F)

 東急東横線では2004年4月から5050系が営業運転を開始しましたが、その後順調に製造が進められ現在では東横線でもっともよく走っている電車となっています。
 5050系は東横線では久しぶりに前面に傾斜のある電車ですね。少数派だった7200系以来久々だと思います。かつての主力だった8000系や数を減らしつつある9000系も切妻の前面がフラットな電車です。
 また東横線を走る9000系は全車行先表示が幕式ですが、5050系ではフルカラーLEDとなりました。LEDは瞬間的に点滅を繰り返しているので、高速で走る電車を写すためにシャッタースピードを速くすると文字がきちんと写りません。少し悩ましいところです。
 写真の5171Fは2010年9月に東急車輛で完成したもので、10月から営業運転に入りました。ホヤホヤの新車というわけです。

2010/10/27

東京急行電鉄9000系(9014F)

 東急東横線は、2012年から東京メトロ副都心線を介して東武東上線・西武池袋線と相互直通運転を行う予定ですが、東横線の特急・急行は10両編成で運転されることになっています。そのため横浜駅などの特急・急行停車駅では、ホームの延伸工事が進められています。
 直通運転の開始後は、東京メトロ7000系・10000系、西武6000系、東武9050系・50070系による東横特急や急行の運転が見られることになりそうですね。また東急5050系にも10連化される編成が出るのかも知れません。今から楽しみです。
 一方で東急9000系は相互直通運転が開始する頃には、東横線から退くのではないかと噂されています。東横特急で疾走する姿を記録できるのも今のうちかもしれません。
 写真の9014Fは1989年9月に東急車輛で完成したものです。1989年といえば横浜博が開催された年ですね。期間中は桜木町から山下公園までの貨物線を利用してディーゼルカーが走っていました。

2010/10/25

相模鉄道11000系(11001F)

 相模鉄道が5000系・7000系電車の代替として増備を進めているのが、最新の11000系電車です。11000系電車はJR東日本のE233系電車をベースとして設計されたもので、来るべきJR東日本や東急線への乗り入れを視野に入れた電車でもあります。
 車体は軽量ステンレス製で、前面は相模鉄道オリジナルのデザインとしています。E233系同様、高運転台構造とした上でクラッシャブルゾーンを設けて、衝突に対する強度を向上させています。客室もE233系に準じた構造ですが、10000系同様に腰掛や化粧板の色調が独自のものになっております。
 主回路はIGBT-VVVFインバータ制御とし、主電動機はE233系と同等のST-MT75形を装備しています。E233系と同様、主要機器の二重系化による信頼性向上を図っております。また情報制御装置の伝送速度向上が図られています。台車はこれもまたE233系と同等のST-D71/T-TR255を採用しています。
 写真の11001Fは2009年5月に東急車輛で完成したもので、11000系の1次車に相当します。「相鉄ギャラリートレイン」として、沿線の子供が描いた絵を車内に展示して走っていました。

2010/10/20

相模鉄道7000系(7005F)

 つい先日、中央線の201系電車が営業運転を退きたいへんな人出であったとのことです。昨年相模鉄道の5000系電車がさよなら運転を行ったときもすごい人出だったそうです。
 それでは1985年頃に中央線が201系に統一されたことにより引退した101系電車のときにもたいへんな人出だったかといえば、混雑するほどの人出はなかったのではないのでしょうか?
 やはりデジタルカメラとインターネットの普及で、ファンの裾野が圧倒的に広がっています。デジタルカメラはフィルム枚数など気にすることなくどんどん撮れます。また現像に出すまでもなく、モニタで即確認。パソコンに画像を取り込み、HPやブログで公開とほんとうに便利な世の中になったものです。
 写真の7005Fは相模鉄道7000系のうち唯一10両編成を組んでいるものです。1979年3月に日立製作所で完成した5次車と、1984年2月に日立製作所で完成した10次車で組成されています。何年かあと7000系が引退する時にも、撮影される方で賑うのでしょうか?

2010/10/18

E653系(カツK308編成)

 651系電車が「スーパーひたち」として走り始めてからも、「ひたち」には国鉄形の485系電車が使用されてきました。さすがに651系とはサービス面の格差が目立ち1997年からE653系電車を投入して列車名も「フレッシュひたち」としました。
 車体はアルミのダブルスキン構造としています。車体の断面は651系よりも複雑になっています。また編成ごとにカラーを代えて個性を持たせています。室内についてはずいぶんと工夫がなされていますが、ゆとりという意味では651系より一歩後退という感が否めません。
 主回路はIGBT-VVVFインバータ制御に進化しています。また台車は軽量ボルスタレス式で揺れ防止のためのダンパーを装備しております。
 写真のカツK308編成は1998年11月に日立製作所で完成したもので、E653系の7両編成のラストナンバーに相当します。E653系は常磐線への新形特急電車の投入に伴い、羽越本線の高速化用に転用されるという噂もありますが、今後具体化することはあるのでしょうか?

2010/10/17

651系(カツK104編成)

 JR東日本の特急電車の中で、唯一「特別急行列車」としての風格を保っているのが651系電車だと私は思います。20年以上走っているとは思えない優美な外観に、ゆったりと配置された座席。
 651系電車と同じく白い塗装の小田急のVSEが人気ですが、それは日常とは異なる特別な空間を演出できているからだと思います。「カシオペア」や「トワイライトエクスプレス」など寝台特急にもあてはまることですが、乗ること自体が楽しみとなる空間を演出することも鉄道の強みですね。
 東海道新幹線から食堂車から姿を消して久しいですが、JR東日本の特急もまた「座れて停まる駅の少ない別料金が必要な通勤電車」になっていると感じます。消費者のニーズも変化しますので一概に悪いとは思いませんが、それならそれでもう一歩積極的な整備を望みたいものです。
 座れるかどうかわからない中距離電車のグリーン車とは別に、長距離通勤を意識した特急を整備するとけっこうな利用があると思うのですが・・・。

E531系(カツK417編成)

 常磐線の取手以北に直通する中距離電車には長らく403系・415系近郊型電車を使用してきましたが、2005年からE531系電車に取り替えを行いました。209系以来効率追求一辺倒に見えたJR東日本の通勤電車が、競争力強化という観点から設計思想を変えた電車にも思えます。
 E531系電車の車体は、湘南新宿ラインなどで使用されているE231系の近郊タイプに準じたものです。製造の途中から常磐線の中距離電車としては初めてとなるグリーン車も編成に組み込まれました。
 主回路はIGBT-VVVFインバータ制御を採用しています。最高速度はつくばエクスプレスとの競合を意識して、130km/hに向上しています。高速運転を支える台車は、特急形のE653系電車のDT64を基本としたDT71を装備しております。
 写真のカツK417編成は、2006年8月に新津車両製作所で完成したもので、同年12月に川崎重工で完成したグリーン車を編成に組み込んでいます。

E231系(マト102編成)

 上野と取手を結ぶ常磐快速線は首都圏では遅くまで103系電車を使用していた路線であります。低運転台の初期形はもちろん、冷房車、山手線や京浜東北線から転用された旧ATC車、千代田線乗り入れ運用から転用された1000番代など多様な103系が常磐快速線を走りました。
 2001年からE231系電車により置換えが始まり、2006年に完了しました。中央・総武緩行線で使用されている車両と同様0番代で、10両編成と5両編成を組み合わせて最大15両編成で使用されているのが常磐快速線用の特長です。
 ラインカラーは常磐線伝統のエメラルドグリーンに、ライトグリーンの細帯を追加しています。これは常磐緩行線を走る203系・209系1000番代や東京メトロ6000系と識別する意味があるものと思います。またかつては上野駅に乗り入れていたE501系とも区別する必要があったのでしょう。
 写真のマト102編成は2001年11月に新津車両製作所で完成したものです。先頭車のスカートを大型のものに換装しています。

2010/10/16

京浜急行電鉄2100形(2133編成)

 京浜急行2100形の2133編成が「あきたこまち」の新米をアピールするラッピングを施して走っていました。
 鉄道車両への広告掲示が認められるようになったのは、ここ10年くらいのことではないかと思います。規制緩和の流れによるものでしょう。
 地方都市の路面電車では、広島や長崎などで増収策のひとつとして昭和40年代から行われていました。またバスでは近年全面広告塗装を施した車両がさかんに走っていますね。
 写真の2133編成は1998年10月に東急車輛で完成したもので、2100形の2次車に相当します。

2010/10/14

京浜急行電鉄800形(805編成)

 京浜急行では1000形がついに営業運転から退きましたので、800形が最古参の車両ということになります。最高速度こそ100km/hと控えめながら、駅間距離の短い京急の普通にはもってこいの加減速性能を誇る電車です。
 車体は普通鋼製で、片開き4扉という独特のレイアウトとなっています。また側面の窓は1枚の大型窓となり、非常にすっきりとした印象です。最初は窓周りもアイボリーに塗り分けられ、いまの2100形みたいな塗装でしたが、いまとなっては古い思い出です。
 主回路は界磁チョッパ制御を採用し、京浜急行では初めて回生ブレーキを装備した電車となりました。運転台も京浜急行では初めてワンハンドルマスコンとし、運転手は右手だけで加減速を行えるようになりました。
 写真の805編成は1979年6月に東急車輛で完成したもので、800形の2次車に相当します。現在では同時に製造された806編成とあわせて6両編成を組んでおります。

2010/10/11

東京地下鉄06系(06101F)

 東京メトロ千代田線は6000系電車が主力として活躍していますが、1本だけ06系電車も走っています。06系電車は1993年3月のダイヤ改正で朝ラッシュ時の輸送力増強を目的として1編成導入されましたが、その後は増備されることなく現在に至っています。
 車体は軽量アルミ製で、丸みを帯びたデザインとなっています。座席は1人あたりの幅を450mmとしたバケットタイプとして、座り心地の改善をはかっています。また天井が6000系に比べて88mm高くなっているそうです。
 主回路は3レベル方式のIGBT-VVVFインバータ制御としています。10両編成で4M6Tと電動車の比率を下げています。また台車は、モノリンク式軸箱支持方式のボルスタレス台車SS135を装備しています。またTISという情報管理装置を導入しています。
 写真の06101Fは1992年12月に川崎重工で完成したものです。同時期に製造された有楽町線用の兄弟車07系は既に全車が東西線に転属していますが、千代田線への16000系の投入によって06系も東西線に転属することになるのでしょうか?

東京地下鉄6000系(6119F)

 営団地下鉄→東京メトロ千代田線の6000系電車は、1968年に試作車が完成し、1970年に量産車が登場しましたが、当時としては非常に斬新な電車だったと思います。何しろ国鉄が103系を量産していた頃の電車ですが、今でもそれほど古臭い感じはしません。
 車体はアルミ製で、非常用の貫通路をデザインに組み込んだ左右非対称の斬新なスタイルです。1977年に製造された3次車までは側窓が2段式で、4次車以降の1段下降式に比べて上下の幅が小さいものです。
 主回路は電機子チョッパ制御とし、ブレーキ装置は現代の通勤電車では主流となっている回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを早くも採用しました。台車はS形ミンデン式のFS378を装備しています。
 写真の6119Fは1972年8月に近畿車輛で完成したもので、霞が関ー代々木公園間延長に備えて増備された2次車の最終編成に相当します。1997年2月に制御装置のVVVF化と車体更新を行っています。

小田急電鉄8000形(8255F)

 小田急電鉄の8000形電車は、5000系列に代わる標準型通勤電車として1982年から87年までに160両〈6両・4両編成各16本〉が製造されたものです。技術の進歩を取り入れて、5000系列の電車から大きく進歩しています。
 車体は普通鋼製ですが、前面デザインはまったく新しいものとなりました。また腐食防止による長寿命化のため、屋根板と床板はステンレス製としています。車内については、座席配置や配色とも5200形に準じたものとなっておりました。
 主回路は、電機子チョッパ制御よりも経済性に優れた界磁チョッパ制御を採用しました。主電動機は出力140KWの複巻電動機MB-3262-AC形を装備しています。また台車はアルストムリンク式軸箱支持の空気バネ台車FS516/FS016を装備しています。
 写真の8255Fは1983年7月に日本車輌で完成したもので、6連の2次車に相当します。2003年3月に車体修理を施行していますが、主回路は界磁チョッパ制御のままとなっています。

小田急電鉄8000形(8057F)

 小田急8000形電車はまだまだこれからも使用する予定で、省エネルギー化の推進と保守の効率化を目的として車体修理とVVVFインバータ化を進めています。
 車体修理によって、腰掛はバケットタイプとなり、7人掛けの部分には握り棒を新しく設けています。窓ガラスはUVカットの遮光ガラスに交換して、カーテンをなくしています。また折りたたみ式腰掛を設けて車椅子スペースを確保したり、優先席の荷棚と吊革の位置を下げたりとバリアフリーにも配慮しています。
 主回路はIGBT素子による2レベル式VVVFインバータ制御で、機器は3000形の3次車以降と共通です。運転台はデスクタイプとなり、ワンハンドルマスコンに変更されています。4連の補助電源装置はIGBT素子を使用した静止型インバータですが、これは廃車となった5000形から再利用しているものです。
 写真の8057Fは1985年4月に日本車輛で完成したもので、4連の2次車に相当します。2008年11月に車体修理とVVVF化を完了しています。種別表示がフルカラーLEDになっているのが目立ちます。

2010/10/10

小田急電鉄5200形(5268F)

 「小田急顔」の電車として最後に現れたのが、1977年から1982年にかけて120両〈6両編成20本〉が製造された5200形です。「小田急顔」は1959年に登場した中型車2400形から採用されたものです。今では23年間も同じ正面デザインの鉄道車両が製造されることはないと思います。
 「小田急顔」ではありますが、5200形の側窓は9000形で好評だった1段下降式を採用しており、たいへん明るい車内となっています。ちなみに6両編成ばかりが作られたのは、急行・準急の10両編成化に際して大型車の6両編成が9000形しかなく不足していたためです。
 走行機器は5000形と同じものです。5000形の4連と5200形の6連という組み合わせは急行列車の主力として大いに活躍しました。今では両形式とも大幅に数を減らしてしまい、1000形や3000形といったステンレス車両と併結して走る姿も当たり前になっていますね。
 写真の5268Fは1982年4月に日本車輌で完成したもので、5200形の8次車に相当します。2001年1月に車体修理を完了しています。前照灯がシールドビームになっているからか、昼間でも2灯点灯で走行しています。

小田急電鉄5000形(5063F)

 小田急5000形は古い電車ではありますが、快速急行・急行・準急といった速達系の列車に運用されています。こまめに加減速を繰り返す各駅停車には、省エネ性能に秀でた新形車両を充てているということなのかもしれません。
 一見同じように見える「小田急顔」の電車たちですが、少しずつ改良を加えております。写真の5063Fを含む4次車では、車内の天井がフラットになり、扇風機を廃止してラインデリアで送風するようになりました。これは9000形の仕様を反映したものです。冷房装置はCU12C形に変更になっています。
 5000形の最高速度は120km/hで、現代の通勤電車と比べても遜色がありません。主電動機は出力135KWのMB-3039-B形、台車はアルストムリンク式軸箱支持の空気バネ台車、FS375/FS075形を装備しています。
 5063Fは1976年11月に日本車輛で完成したものです。1998年6月に5000形としては最後の車体修理を施行しています。そのため5200形の修理車と同様に側窓のガラス支持が押さえ金となっています。

小田急電鉄5000形(5062F)

 かつてはあたり前のように走っていた「小田急顔」の電車たちも、5000形と5200形だけとなり、引退秒読みとまではいなかくても、仲間が少しずつ運用から離れていきます。
 小田急では複々線化工事も進捗し、いつ乗ってもやたら混んでいるというイメージも払拭されつつあります。快速急行や多摩急行の新設、急行の全区間10両編成化が大きな効果を発揮しているように思います。
 車両の面でも3000形や4000形など新しい通勤電車が増え、ロマンスカーにはVSEという看板車両も誕生しました。
 写真の5062Fは、1971年4月に東急車輛で完成したものです。1994年9月に車体修理を施行してはいますが、貫通路に設けたタテ形の行先表示など今ではやはり古い電車だという感じがしますね。

靖国神社C5631

 東京九段にあります靖国神社には、C56形蒸気機関車が展示されています。なぜ靖国神社に展示されているかといえば、この機関車も戦時中に海を渡りタイで活躍したからなのです。
 一見普通のC56形に見えますが、よく見ると連結器がシングルピン式という日本にはないものになっています。またデフ無しで本線を走ることも日本ではなかったように思います。さらに軌間はタイ時代の1.000mmのままになっています。
 そういえば子どもの頃、台湾ではC57形やD51形にそっくりの蒸気機関車が走っているということを本で読みました。鉄道は政治や経済と密接に関わっていることを感じます。海外では、軍事施設に準じた扱いを受け、撮影できないケースもあります。
 写真の31号機は1936年2月に日本車輛で完成したものです。七尾線で使用されてから、1943年にタイに渡りました。日本に返還されたのは1979年のことです。現在では屋内に展示されています。
【撮影:佐野次郎 1992.3.1】

2010/10/09

新橋駅前C11292

 今日は朝から雨で、「撮り鉄」に出かけることもありませんでした。そのかわり床屋や歯科に出かけたり、タンスの夏物と秋冬物を入れ替えたり、読書をしたりして過ごしました。そんな日は、前に撮った写真を紹介する機会でもあります。
 新橋駅前に鎮座するSLはC11形ですが、渋谷のハチ公前にある東急5000形と並んで、もっとも賑やかな場所にある保存車両だといえるでしょう。整備も行き届き、美しい姿で展示されています。
 C11形はご存じの通り主にローカル線で活躍した蒸気機関車で、JR北海道や真岡鉄道、大井川鉄道で動態保存されていることでも有名ですね。
 写真の292号機は1945年2月に日本車輛で完成したものです。現役時代は姫路機関区で活躍しました。1972年に廃車となり、新橋駅前で展示されています。
【撮影:佐野次郎 2010.5.4】

鉄道博物館9856号

 神田にあった交通博物館では、長い間C57形蒸気機関車の135号機と写真の9850形9856号機が並んで展示されていました。
 この9850形蒸気機関車は、急こう配区間であった東海道本線〈当時〉の山北ー御殿場間の補機として、1912年に導入されたものです。マレー式という大型・特殊な機関車でしたので昭和のはじめには国産のD50形に代替されて姿を消しました。
 9856号機は1912年にドイツ・ヘンシェル社で完成したものです。1913年から1924年にかけて山北機関庫に配置されて活躍しました。
 1927年から東京駅近くに開設された鉄道博物館に展示されたあと、1936年に万世橋〈神田〉に移転しました。国産の蒸気機関車に比べて大柄です。このような特殊な機関車がよく保存されていたものだと思います。
【撮影:佐野次郎 2010.4.12】

西武鉄道6000系(6151F)

 西武鉄道6000系電車は、1992年から98年にかけて250両〈10両編成25本〉が製造されましたが、1996年に製造された5次車から車体をステンレス製からアルミ製に変更しています。
 車体はアルミ製となりましたが、車体のデザインはステンレス製と同じとなっています。アルミ製としたために、側面はフラットとなりグレーホワイトの塗装を施しています。車体の重量はアルミ製となったことにより軽減されています。
 アルミ製の電車としては珍しく戸袋窓も残されています。電気部品に関しては4次車と大きな変化はなく、台車の構造変更やブレーキ装置の低騒音化などの改良を行っています。
 写真の6151Fは1996年に日立製作所で完成したもので、6000系の5次車に相当します。2010年5月に玉川上水車両基地で副都心線対応工事を完了しています。
【撮影:佐野次郎 2010.10.2保谷ー大泉学園間】

西武鉄道6000系(6109F)

 西武鉄道6000系電車は、有楽町線への相互直通運転を目的として1992年に導入された電車です。現在では有楽町線のほか、副都心線にも乗り入れています。101系以来の西武の電車の流れを変えた画期的な電車といえるでしょう。
 車体は西武鉄道の電車では唯一軽量ステンレスを採用しています。営団7000系電車を意識してか貫通路は片側に寄せられています。ステンレス製とはいえ戸袋窓も設けられ、室内の明るい電車となっています。有楽町・副都心線を走る電車の中ではもっとも座り心地の良い電車だと私は思います。
 主回路は当時の主流であったGTO-VVVFインバーター制御を採用しています。GTO方式独特の起動音を現在でも聞くことができます。東急9000系などと同じ音ですね。台車はボルスタレス式を採用しました。またLEDによる車内情報案内装置を設置しています。
 写真の6109Fは1994年6月に東急車輛で完成したもので、6000系の3次車に相当します。2009年6月に玉川上水車両基地で副都心線乗り入れ対応工事を行いました。6000系では唯一ドア上部に大型液晶モニタを装備した編成でもあります。

2010/10/07

東京地下鉄10000系(10128F)

 地下鉄の有楽町線といえば、イエローの帯を巻いた7000系電車の印象が強いのですが、2006年9月から副都心線との共通車両である10000系電車が走り始めています。今や10000系電車は360両〈10両編成36本〉が揃い、7000系は副都心線対応改造を受けた180両〈10両編成6本・8両編成15本〉が残るのみとなっています。
 10000系はアルミ合金製のダブルスキン構体を採用しています。東武鉄道の50000系や西武鉄道の20000系・30000系と同じく日立製作所のA-TRAINと呼ばれるシリーズになります。東武50000系や西武20000系とは異なり、先頭部は丸みを帯びたデザインとなっています。新しい中にも懐かしさの感じられる不思議な電車だと感じます。
 主回路はIGBTを使用したベクトル制御付き2レベルVVVFインバータ方式を採用しています。また台車は新形式のFS777を装備しています。
 写真の10128Fは2009年9月に日立製作所で完成したもので、10000系の5次車に相当します。5次車では荷棚の構造を変更して、リサイクル性を高めるなどの細かな仕様変更が行われています。

2010/10/06

東京地下鉄7000系(7132F)

 副都心線で使用されている7000系電車のうち15編成は、10両編成から8両編成に短縮されています。これは2012年度に予定されている副都心線と東急東横線の相互直通運転の開始により、8両編成が必要になるためです。8両編成については既に走り慣れた有楽町線を離れ、副都心線専用となっています。
 写真の7132Fは1988年3月に近畿車輛で完成したもので、7000系の4次車に相当します。4次車は有楽町線の新富町ー新木場間の開業に備えて製造され、新製当初から冷房装置を搭載していました。
 副都心線対応工事と同時に主回路を2レベルVVVFインバーター制御に更新しています。ちなみにVVVF装置や主電動機は廃車となった中間車から再利用しているそうです。
 今となっては古めかしい7000系ですが、副都心線対応工事により運転台は10000系と同等に更新されており、ATO・ホーム監視カメラなど最新の機器を備えています。また冷房装置も新しいものに交換されています。

2010/10/04

東京地下鉄7000系(7105F)

 営団地下鉄有楽町線の開業とともに導入された7000系電車は、当時としては最先端の技術を凝縮した電車だといえます。導入後35年を超えた現在も、副都心線でのワンマン運転や2012年度に予定している東急東横線への直通などの新しい用途を加えつつ現役を続けています。
 写真の7105Fは有楽町線の開業に備えて、1974年7月に川崎重工で5両編成で完成しました。7000系としては1次車に相当するもので、側窓が小さいのが特徴です。製造当初は冷房装置もありませんでした。
 1983年6月に川崎重工で完成した中間車5両を増結して、10両編成となりました。新造した中間車は7000系の3次車に相当し、側窓が1段下降式となり、また冷房装置を搭載する準備工事を施しています。その後の改造により、冷房装置を全車両に搭載しました。
 当初主回路はAVFチョッパ制御だったのですが、2005年3月に新木場CRで2レベルVVVFインバーター制御に更新しています。また主電動機の出力を165KWに増強すると同時に6M4Tから5M5Tと電動車比率を下げています。さらに2009年12月頃に副都心線乗り入れ対応工事を終えて現在の姿になっています。

2010/10/03

東武鉄道10030系(11654F)

 東武東上線では、210両ともっとも多くの両数が在籍しているのが10030系です。10000系の改良型で、ステンレス車体製作技術の進歩を背景として車体のデザインを一新しています。
 車体は前面デザインを新しくしたほか、側面の凹凸が10000系に比べて少なくなっています。同じく1980年代後半に製造された国鉄→JR東日本205系や東急9000系などと同じ系統の車体といえそうですね。また座席の1人分のスペースを10000系から25mm拡げて450mmとしています。
 主回路は10000系と同じく界磁チョッパ制御としています。台車は乗り心地の向上と軽量化を目的として、ボルスタレス台車に変更しています。東武鉄道では日比谷線直通用の20000系に続いての採用です。また乗務員支援のためにモニタ装置を導入しています。
 写真の11654Fは1992年11月にアルナ工機で完成したものです。11654Fは6両編成ですが、4両編成と組み合わせて10両編成で運用されています。

東武鉄道10000系(11802F)

 東上線で活躍している10000系電車は60両あり、内訳は10両固定編成が4本、8両・2両編成が2本ずつであります。実際には8両と2両を組み合わせて10両固定編成と同じように使用しています。
 9000系から10000系、10030系まではステンレス車体にマルーンの帯を巻いてアクセントにしていました。最新の50000系ではオレンジ系のアクセントになっていますので、京急の赤のように東武鉄道の代名詞的なカラーは特に固定されていない感じです。
 10000系の2両編成は池袋方の先頭車にパンタグラフを2基搭載していて、まるで鉄道模型の世界から抜け出てきたような独特の印象があるのですが、東上線では編成の中間に入ってしまうためあまり目立ちません。西武線のように編成の先頭に立つと面白いのですが、少し残念です。
 写真の11802Fは1983年11月に富士重工で完成したもので、10000系の1次車に相当します。コンビを組む2両編成は、2008年に伊勢崎線から東上線の10両編成化のため転属してきたものです。2014年10月にはリニューアル工事を受けています。

2010/10/02

東武鉄道8000系(8175F)

 東武東上線では、4年ぶりに50000系電車の増備が再開されたことにより、8000系が廃車されています。これからも置換えが進んでいくものと思います。
 8000系電車の室内は、座席の奥行きもそれほど深くなく実用本位の電車だという印象を受けます。室内の配色は化粧板がクリーム色で、シートモケットは抹茶色と暖色系でまとめられています。側窓は現代の通勤電車では珍しくなりつつある2段式で、戸袋窓も最初からありません。
 主回路は抵抗制御ですが、台車はS形ミンデン式の空気バネ台車を装備しています。現場では使いやすい車両だといわれてきましたが、省力化の進む新形電車とくらべると今では保守には手間のかかる車両ということになるのでしょう。
 写真の8175Fは1977年5月に富士重工で完成したものです。更新修繕を受けてはいるものの、既に33年間走り続けているわけですね。